ゴミ捨て場

命を大事にしな

君たちはどう生きるか

見てきた。前日にパーフェクト・ブルーも見てきたんだけど、あっちの感想は書き始めるとかなりキモくなりそうなので一旦自分の中に眠らせておきます。こっちの感想文もキモくなるかもしれないけど。


特に前半パートに終始横たわっている陰鬱で息苦しい空気感、主人公の心情描写

物語開始時点から陰鬱さ、やりきれなさ、無力感のようなものがずっと横たわっていて、どうしたって変えようのない息苦しい状況に対して、それでも何とか抵抗しようとする寡黙な主人公の様子が、それが見ていた時の自分の気分とマッチしてしまって、このタイミングで見に来て正解だったなと思った。

父親と再婚相手の女性(夏子)に対して直接的に自分の気持ちを伝えることもなく、ひたすら黙り込んで、気持ちを押し殺して接しようとする主人公から感じる息苦しさが、自分の知っているジブリ的な爽やかさや解放的な雰囲気とは真逆を行っていて、その空気感が自分にとっては心地よかった。

自分にとって耐え難いがどうにもならない状況、それに対して周りの人々へ何も言い出すことすらもできないことへの焦燥感や逃避欲求から来る行動、どうしようもない状況に対する抵抗(悪意)としての自暴自棄な行動など、主人公の心情描写が良かった。言葉数は少なくてもよく心情が伝わってきて画面を見ているのに夢中になっていたと思う。また、そういう心情があった上で、なんだかんだで消えてしまった夏子を救いにいくという判断をしてしまうところもかなり良く、というか自分として共感出来るもので、自分がこの作品を気に入ったシンプルな理由の一つとして主人公の眞人が好きだから、というのはありそう。

後半パートの様々な事象、状況が言葉による説明少なめなままどんどん展開していくやり方

後半(異世界行った後)に対する感想を端的に言うと見ていてこれクロノ・クロス好きなタイプが好きになっちゃうやつじゃないかなと思った。良くわかんない(というか説明が無いor不足している)ことを言っていたり、起こっていたりすることがあるんだけど、その「良くわかんなさ」が好きというか、今重大な事が起きてる/言及されてるんだろうなって想像を掻き立てられるような表現好きなので。多分わけわからんって言われていそうな展開&表現多めではあったけど自分は楽しく見れてたと思う(書きながら思ったけどパンフ買えばよかった)。見たことないもの・知らない人(鳥)・奇妙な出来事が連続して、その中で主人公が少しずついくつかの人々とふれあいながら心が解きほぐされていき、心情や価値観に変化が生まれていく様子が冒険譚として普通に良く出来てたかなと。

作品があまり観客の方を向いておらず、その世界の登場人物の間で発生する会話をただ傍から見ているような感じ。こう書くとそれは富野由悠季がやってるだろという感じもするけど、あっちは明らかにわざとらしさが感じられる(わざとキャッチボールじゃなくてドッジボールさせてる)し、上から目線で「わかんなきゃダメだぞ」と言われてるような感覚に陥るけど、この作品はただありのまま、作ってみたらこうなりました(それによって当然悪い評価を受けやすいとは思うけど)、というものを見ている気持ちになり、そういうものが感じられるならば自分としては愛せるなと思った。

その他細かい話

  • 夏子さん良かった
    • 序盤の眞人に赤ちゃんの存在を強引にわからせたり、妻を失ったばかりの父親に遠慮なくべったりした態度
    • 突然赤ちゃんと心中しにいく
    • 終盤の感情の吐露良かった
  • ヒミちゃん良かった
    • 大好きだった母親が主人公よりも若い頃の姿で現れるというシチュエーションがまず良い
    • 最後の別れが湿っぽくなりすぎず、明るくバイバイしてたの良かった
      • 眞人は絶対頑張ってこらえてただろうなっていうのもわかってそれも良かった
  • おばあちゃんたちの人形かわいかった
    • 眞人がおばあちゃんたちにもいつの間にか優しい態度に変わっていたのがわかったのも良かった
  • 眞人が人と人の争いの絶えない元の世界で生き抜いていく上で、「友達を作ります」と言ったこと
    • 個人的に「友達って生きていく上で本当に大事だし大切な存在だよな」って心の底から感じることがあり、強烈に共感してしまった
    • 友達の中に「アオサギ」も入っていたのも良かった
  • (FF16の方はそんなにだったんだけど)地球儀良かった
    • 米津玄師思ってたよりジブリと相性良いなという感想

宿題

  • 異世界にあるいろんな背景設定を雰囲気でしか理解できていない
  • 「悪意」をどう捉えているのか結局良く分からなかったので、(明らかに作品で重大な部分なので)把握すべき
  • 地球儀の歌詞じっくり読み解いていきたい