ゴミ捨て場

命を大事にしな

やさしい顔と手の描き方

の要点をメモしていく記事。

 

 


読者の皆さんへ

 

・頭部の概略的なパターンを決定する最大の要素は頭蓋の形そのものである。

・頭蓋の容積はほとんど同じだが、形だけが様々なのだ。

・顔面に張り付いている各筋肉が実際にどんな表情を演出するのかを頭に叩き込まなければならない。

・頭蓋について学んでみると、形そのものよりも形の組み合わせ(スペーシング)がいかに大切なものであるかがわかってくる。それぞれの形はしっかりした構成の中に正しく収められなければならないのである。

・初心者は目・耳・鼻・口と描き顔のアウトラインを引いておしまいである。それでは縦横の広がりしか持たない二次元の構図である。

・私たちはどうにかして、頭部の空間性、つまり厚み・深みを平面に表現しようとして色々な方法を取り入れる。

・問題はそれぞれの形のリアリティだけでなく、光と影・丸み・窪み・しわなどを筋肉・骨・脂肪が作り出すものとして捉え、その連関で構成するのである。

 


頭部を描くためには

 

・君は自分の本心に尋ねてみるがよかろう、「自分は一体なぜ頭部をうまく描きたいのだろうか」と。(中略)描くことは緊張を和らげ、悩み事や問題を解消させるほど、君自身にとって気晴らしになるものだろうか。こういった基本的な動機について、じっくりと徹底して吟味していただきたい。

・何かをうまくやり遂げるということは、目標に達するまでに必ずついて回る様々な障害を克服すること以外にはないと言ってよい。熟練とは障害を克服することに他ならない。

・第一の障害とは、今始めようとしていることに対する知識の欠如がほとんどだ。それはどんなことについても同じだと言っても過言ではない。

・頭部は、常に変化する個性としてではなく、空間上の外観にすぎないと考えるべきだ。

・個々人の特徴というのは、合理的で的確な基本構図に縛り付けておくには複雑すぎるのだ。

・私たちはまず心に刻んでおこう。頭蓋骨そのものは出来上がったものであり、残りの部分はみな、ただの付属物だということを。

・最初の懸念は球形と顔面とがいろいろな方法で傾けても、ひっくり返してもユニットとして機能するように、球形と顔面を組み立てることが出来るかどうかということである。

・もちろん普段は、私達には頭部の半分も見えてはいないのだが、組み立てる立場からすると見える半分と同じだけ、見えていない半分が重要なのである。

・頭は、見えない方の面を感じ取ることが出来るようになるまでは描けないものなのだ。

・君がどれだけ多く描いた経験があろうと、また非常に習熟していようと、あるいは目が訓練されていようと、常に頭部を正確に組み立てることから始めなくてはいけない。それはどんなに熟練した大工でも、板を切る前には必ず寸法を測るのと同じことである。

・顔と頭を組み立てることは、各点の測量を確定することから始まる。他のどんな方法でも、賭け事に近い当て推量の仕事に必ずなってしまう。一度でもそれが正しいと剣闘をつけてしまったら、あやまちを不可避的に何度も犯すことになる。

 


頭部の基本形

 

・頭蓋骨はボールと実によく似ている。このボールを頭に見立てるわけだが、まず地球儀のように極軸を通し、四等分し、更に赤道をつけよう。

・それから両側を少しずつ削ぎ落とす。

・赤道は眉の線となり、顔面を通る経線は中央線となる。眉線と北極都の中点を通る緯線は髪の生え際の線の目安である。

・次に中央線を眉の先を越した所で軸と平行に下に落とし、眉と生え際との距離を一単位としてに単位伸ばした所が顎になる。

・眉と顎の中点は鼻である。

・顎骨のアウトラインは、削ぎ落とされた円の下端に向かう。

・耳の位置は、眉線を上端、鼻の位置を水平に伸ばした線を下端とする。

 


頭部の描き方

 

・顔の中央線と眉線との交差点は、頭部を描く上で重要なポイントとなる。それは顔面の方向と角度を決定する。

・逆に球面に一点を描き、そこから上下・左右に線を伸ばすと中央線と眉線が出来るわけで、耳の位置も決まるわけだ。

・頭部を描く上で、球形上と顔面上に点を置くことから始めよう。球形も顔面もそれらの点を決めるために細分されなくてはならない。

・顔を作る上で頭部のもっとも重要な点は、眉の間の眉間の点である。球体では「赤道」と「子午線」の交差点と呼ばえ、その二線は垂直及び水平に球形を切断するものである。

・あらゆる測定はこの交差点が起点となる。この点から頭部の中央に上に向かうと、ほぼ中間の辺りに髪の生え際があり、その結果額の間隔が取られることになる。

・交差点から、今度は下方に同じ距離だけ取ると、鼻の長さが得られる。鼻の先端から眉までの距離が平均して、額の高さに等しくなる。

・鼻の先端からまた同じ長さだけ下方に取ると、あごの下までが得られる。

・これで、鼻の先からあごの先までと、鼻の先から眉まで、鼻と眉の交差点から額の生え際までの3つの距離が同じ長さを測ることで得られるのがわかる。

・目鼻の配置の仕方は、目鼻立ち個々を描くことよりも重要な事だ。

・分割ボールと平面法を使って頭部の骨格を決めたら、目鼻立ちを書き込むのはそう難しいことではなくなっている。しかし、それは頭部全体の構成を決めてからのことで、その前に書き込んで修正することは出来ないと考えておくべきである。

・人物であれ物体であれ、その全体的なアウトラインを構成的に捉えることをいつでも念頭に置いておきたい。そうすることで平面に三次元的世界を表現できるわけで、知識や経験は不可欠なものである。

 


頭蓋骨の構造

 

・骨の構造のどんな些細な点もさして重要ではなく、その全体の型が最も重要なのである。

・中央線の両側の間隔に注意しながら眼窩の位置を決めなくてはならない。

・両側にはほお骨を位置させ、鼻の起点(眉間)は中央線上に確定させ、鼻の下方は中央線から離れて伸びる。

・あごの端を決め、その線を下に伸ばして顎先に持ってくる。

・頭部はすべて全体の造作が中央線で均衡しているように形作られていなければならない。

・頭部の分割の基礎は骨におかれているのであって、決して肉に置かれているのではない。

・ほおを除くと顔面の肉はすべて骨に張り付いており、骨の形の影響を受けている。

・あごを除くと頭蓋は頭部の動きそのものに従属している。目・ほお・口の筋肉だけが、それぞれ独立した動きができるのである。

 


顔のパーツ

 

・顔は往々にして薄っぺらに描かれるものだ。

・鼻口部の丸み―からみあっている両あごの丸みについても考慮しなくてはならない。顔の肉感的なところに埋没している、唇の背後にある歯のくっきりした曲線を隠している丸みだ。

・口とあごの部分の丸みが印象をあたえることが実際どのようなのかは、パンをちぎってみてもわかるだろう。

・目が丸いということも忘れられない。紙の切り口のように普段扁平にしか見ていないのだろうか。

・目・鼻・口そしてあごのそれぞれが三次元的な厚みを持っていて、それは頭部全体の立体感を犠牲にはしないものなのである。

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