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命を大事にしな

レトロゲームのRTAを始めたい初心者向け配信環境の紹介(PS2配信の場合)

はじめに

私はSFCPS2を使ったゲームのRTAをはじめて約2年ほどになるゲーム配信者です。2022年の冬のRTA in Japanに参加させていただいた際に、自分でRTAするのに興味を持たれている方をちらほら見かけたので、そのような方々を想定した、RTAを始めるにあたって必要な環境を紹介する記事を準備することにしました。

この記事は、レトロゲームハード(具体的には映像出力がコンポジットやS端子となっているSFC、PS1、PS2あたりのハード)でのRTAを始めようと考えている方に向けて、「比較的費用が安く抑えられ、かつまともにRTAできる」配信環境を紹介する記事です。今回の例ではPS2の環境としていますが、特にこれがSFCやPS1やニューファミコンに置き換わっても変わらないと思っていただいてOKです。

私自身、安めの予算で構築できる環境でしばらく配信していた時期があったので、その時の環境例を紹介できればと思います。おまけで今の自分の環境(結構お金かかる)も紹介していますがこっちは見なくて大丈夫です。多少こだわった環境が気になる場合は見てみてください。

タイマー回してRTAの配信を行うためにはPCにOBS、Live Splitをインストールして設定等必要ですが、この辺は私が適当に説明するより読むべき記事が転がっているので適当にググってみてください。よくわからなかったら下の方に連絡先を載せておくので聞いてくださればできる範囲でサポートさせていただきます。

有識者・経験者の方でもしこの記事を読んで「こんなんよりもっと安くてまともな環境作れるよ」という方がいたらぜひ記事にして展開してもらえると私も嬉しいです。

(最低限)RTA配信をするために必要なもの

  • ゲームソフト
  • ゲームハード
    • 本体
    • コントローラー
    • 映像・音声出力ケーブル(今回の例ではHDMIではなくコンポジット出力やS端子出力のあるレトロハードを想定)
    • 電源ケーブル
  • ゲーム用モニター
  • 配信用PC
    • 配信用アプリ(OBS、嫌なら他のアプリでも可)
    • タイマーアプリ(Live Split、嫌なら他のアプリでも可)
  • 配信用モニター
  • 配信用機材
    • 映像・音声分配ケーブル
    • 映像キャプチャー
    • ゲームの映像出力規格(S端子またはコンポーネント)から出力したいモニターに合わせた規格への映像変換器(今回の例ではS端子VGA)
    • 映像変換器に合わせたケーブル(今回の例ではVGAケーブル)

初心者向け配信環境(PS2の場合を紹介していますが、PS1,FC,SFC,N64,ゲームキューブで読み替えても問題ありません)

RCAコンポジットAV S-Video - VGA変換ボックス
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②GV-USB2(S端子用映像キャプチャ)
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S端子分配ケーブル
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PS2S端子+AV端子ケーブル
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(ついでにSFC用に使っていたS端子ケーブルも乗せておきます)
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S端子RCA延長アダプタ
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説明

S端子について

まずPS2に同梱されている映像・音声ケーブルはコンポジット出力(赤白黄色のケーブル)ですが、この黄色のケーブルをS端子というのにすると映像の質が上がるので別売りのS端子ケーブル④を用意します。特にコンポジットのままでもプレイ上の問題はないです。

ゲーム画面をモニターに映す

次に、自分がゲーム画面を見るために映す液晶モニターに映す方法です。S端子からHDMIへ変換してモニタに接続するのを想像されると思いますが、HDMI変換器は安いものを選ぶと画面描画の遅延が気になる、遅延がないものを探そうとするとかなりお高くなってしまう、となってしまい私はとりあえずHDMIでゲーム画面を映すのは諦めました。

そこでどうしたかというと、HDMIではなくVGAへの変換です。ここで紹介しているよくわからないメーカーのうさんくさいS端子toVGA変換器①、使ってみると全然問題なくロックマンXRTAができる程度に遅延を感じずにプレイできました。

ゲーム画面を配信用PCでキャプチャする

あとはゲーム映像を配信に流すための映像キャプチャが必要になります。S端子用のキャプチャは、HDMIキャプチャに比べるとだいぶ安くて手が出しやすいです。HDMIキャプチャは定番のものでも余裕で1万円を超えるくらいなのですが、S端子用の②は4200円くらいで買えます(これでも高くなってきていて、1~2年前は3300円くらいでした)。

モニター出力向け、キャプチャ向けにS端子の出力を分配する

ここまで説明を読んでいて気づかれたかわかりませんが、VGA変換器にもキャプチャにもS端子を入力してやる必要があります。これを実現するにはPS2からのS端子の出力を分配しないといけないのですが、それをやってくれるのがS端子分配ケーブル③です。PS2S端子ケーブルをこれに接続して、分配された2本のS端子ケーブルをVGA変換器とS端子用キャプチャに接続するイメージです。S端子用キャプチャは音声もキャプチャしたいと思うので赤白ケーブルも接続しましょう。私はキャプチャした音声をPCで再生させてそれを聴きながらゲームしてましたが、特に遅延が気になったことはありません。

PCでキャプチャしたゲーム画面を見てプレイするのはやめてゲームの映像を直接映すモニターを用意しよう

念のための注意点として、キャプチャした映像をPCで見てゲームするのは(やってみればすぐわかると思いますが)遅延がひどすぎてRTAやるにはかなり厳しいのでやめておきましょう。置き場所等課題出てくるかもしれませんが、ゲーム画面映すためのモニターを用意した方がいいです。この例ではVGA入力のあるモニターが必要ですが、VGA入力のあるモニターは割りと古いモニターなので安く手に入るはずです。モニターの性能についてはゲーミングモニターと呼ばれるようなものでなくても問題なく、フレームレートも60FPS以上出るPCゲームやPS5で遊ぶ予定がないなら60Hzのモニターで十分です。

ゲーム用モニターに関する他の選択肢

古めの液晶にはコンポジット入力やS端子入力のあるものがあり、このタイプの液晶でRTAされている方も割と見かける印象があります。VGA変換以外の選択肢としてこちらもありだと思います。
また、ブラウン管テレビがあるならそれを使うのがRTA的には最適解になります(これを最初に言うべきだったのでは?)。

RTA始めるまでのざっくり手順

  1. PCにOBS, Live Splitをインストール、OBSの設定、Live SplitでRTAするゲームのスプリット作成
  2. PCに②GV-USB2を接続し、ドライバーインストール
  3. PS2にコントローラー、電源ケーブル、④S端子+AV端子ケーブルを接続
  4. S端子+AV端子ケーブルを③S端子分配ケーブルに接続
  5. S端子分配ケーブルを①S端子toVGA変換器、②GV-USB2へそれぞれ接続
  6. S端子toVGA変換器とゲーム用モニターをVGAケーブルで接続
  7. ゲーム機の電源をつけ、OBSを起動後ソースの「映像キャプチャーデバイス」を追加し、ゲーム機の映像がキャプチャされてOBS上に出ているか、音声が流れているか(音ズレなどもないか)を確認
  8. OBS上で配信用にレイアウトを調整(最低限ゲーム画面とLiveSplitが表示されていればOK)
  9. 配信ボタンを押し、タイマースタートさせてRTAを始める

OBS、Live Splitの設定について参考になりそうなページ

vip-jikkyo.net

rta-play.info

rtagamers.com

最後に

この記事を読んで何か疑問点や気になることなどあれば、この記事のコメントでもかまわないですし、Twitterで質問してくださっても大丈夫です。多分Twitterが一番反応が早いです。

twitter.com

普段TwitchでRTAやカジュアルなゲーム配信をしているので、配信中に質問しに来てくださっても問題ありません。RTA中でも遠慮なくどうぞ。

www.twitch.tv

個人のDiscordサーバーを立てているので、ここに来てもらえると画面共有してもらいながらのサポートなどできるかもしれません。

discord.gg

おまけ(私の現在の配信環境について)


アイ・オー・データ ゲーミングモニター 23.6インチ(144Hz/120Hz) GigaCrysta
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②(Elgato HD60 Sをやめて)AVerMedia GC553
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③(Portta HDMIマトリックスをやめて)エレコム DH-SW4KP51BK 4K 60Hz
https://amzn.asia/d/hzEaeeu
④RetroTINK-5X Pro
5X-Pro | RetroTINK
ELPA AVセレクター 4入力1出力
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⑩LG ゲーミングモニター UltraGear 23.8インチ
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コメント

いつの間にかちょっと意識(だけが)高くなって(ガチ勢とは程遠い実力なのに)RetrotinkによるHDMI出力でRTAをするようになりました。RetrotinkはS端子やコンポジットやコンポーネントなどの映像出力をHDMIに変換してくれるコンバーターです。RTA的にはHDMI変換の際の遅延が無く鮮明な画面でプレイできるのが大きな強みです。導入の際には以下の記事に大変お世話になりました。
www.mdnomad.com

せっかくなので応答速度が速いゲーミングモニターも用意しています。多分知らん間に誰かが普通のモニターに置き換えていても気づかないんじゃないかなと思うんですがまあ一応。

RTA以外の面で気に入ってるのはケーブルの差し替え無しでSFCPS2・Switch・PS5の4つのゲームが遊べる環境になってるところです。レトロハードの2つに関してもRetrotinkの入力切替(SFCS端子PS2コンポーネント)をリモコンで行うことが出来ます。AVセレクターで音声切替もしないといけないですがボタン押すだけで切り替わるのでそんなに気になっていません。

HDMIキャプチャーは最近PS5持ってるしゲーミングモニターもあるのに120FPSでパススルーすらできないの悔しくなってきたので120FPSで配信・パススルー対応するキャプチャー(まあまあお高め)をそのうち買いたいです。さっき手が滑ってFORSPOKEN(120FPS対応)買ったしFFXVI(間違いなく120FPS対応してるでしょう)も予約しちゃったし。なんかもう今買った方がいい気がしてきました。

音声面はずっとAG03というミキサーを使っていましたが、配信中音声のブツ切れの現象がちょくちょく発生しており、公式から対策などもアナウンスされていてそれらも試しましたが、全く解決しなかったので最近UR22Cに買い替えました。UR22Cは音楽制作用のオーディオインターフェイスで、前述のような問題はもちろん発生しませんし音量・音質の面も良くなった気がしています。配信用オーディオインターフェイスの定番としてAG03がよく上がるみたいですがループバック機能もいらないしこういう問題も起こるし再生・録音のスペック面は大したことないしという感じがするので、個人的にはUR-Cシリーズを使っとけば良いのかなと思いました。

2023/9/5追記

今年の前半頃に構成をちょっと変えました。オレンジ色のところです。まず②のGC553にした理由ですが、「元々使用していたElgato製のキャプボがRetroTinkと相性悪いかもという噂は聞いていたが、実際に問題がでてしまったため」です。具体的にはよくわからない音ズレが頻発するようになり、頑張って対処するより製品変えちゃうか、ということでGC553に買い替えました。導入初期は結構色々あって大変だったんですが今は特に問題もなく使えています。RetroTinkの導入を考えている人はキャプチャーボードのメーカーにもご注意ください。
③のHDMI切替器を買い替えたのは、「PS5でHDR対応のゲームをしたいときにHDR対応の切替器が欲しかったから」です。そもそもわかってなかったんですが、HDR出力したい場合はキャプチャやHDMIケーブルだけでなく、HDMI切替器に関してもHDR対応のものでないといけません。元々使ってたやつ(Portta HDMIマトリックス)は残念ながらHDR対応ではなかったため買い替えた流れです。ちなみに私の場合はFF16がHDR対応のゲームだったためそれが買い替えのきっかけになりました。FF16はHDR出力を前提としたグラフィック調整がなされていて、HDRなしの画面だとちょっと暗く見えるみたいなコメントも見かけたので、今後こういうゲームをまたPS5でやることになることを考えるとちゃんと環境準備したほうが良いかなと思った次第です。